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今日は平成27年度自殺予防ゲートキーパースキルアップ講座に参加してきました。
こちらは道の委託を受けて日本産業カウンセラー協会北海道支部が展開している北海道地域自殺対策緊急強化事業の一環として開催されてきた全25回の講座の最終回。

ずっと拝聴したいと思っていた、認知行動療法の第一人者、坂野雄二先生(北海道医療大学教授)のお話をやっと聴くことができました。

現在日本における「気分障害」の患者数は約100万人。
そして「不安障害」にあたる患者数は約60万人。
これらを合計した数はちょうど日本でムシ歯を治療している患者数とほぼ同数だといいます。

すなわち、
「いま虫歯で歯医者さん通っててさー」
「あ、そうなんだ。」

という会話と

「いま気分障害(不安障害)で病院通っててさー」
「あ、そうなんだ。」

という会話が成り立つ状況が同数であるということ。

でも前者は日常会話で耳にしてもおかしくないけれど、後者の会話はどうでしょう?

やはりいまでも、なかなかオープンに話せる状況にはないのではないでしょうか。
(もちろん単純にオープンに話せるようになるべきだということではありません。)

要するに、これほどメジャーであるにも関わらず、それが表立って語られることは少ない病気であるということです。

そして日本では、15年連続して年間3万人を超える自殺者が出ています(平成9~24年)。
交通事故死亡者数が4113人(平成26年)であること考えると、相当な数であることがわかります。

そのような状況のなかで、「自殺ゲートキーパー」とは、自殺の危険を示すサインに気付き、適切な対応をはかることができる人のこと。

自殺という最悪の結果を招く前に、ゲート、すなわち自殺につながるおそれのある道の入口のところで食い止めようというのがその狙いです。

では「適切な対応」とは…?

①悩んでいる人の存在に気づく
②声をかける
③話を聴く
④見守る
⑤必要な支援(医療や福祉制度等)に繋げる

すなわち、医療等の専門的支援の手前の段階で自殺の危険性に「気づくことができる」というのが主な役割となります。

そしてここで坂野先生がとても興味深いことをおっしゃっていました。

現在富山県の取り組みで、床屋さんにこのゲートキーパーの役割を担ってもらおうとする試みがあるそうなのです。

床屋さんや美容院は、決まって同じ所に行く方が多いのではないでしょうか?

そして、これは私がお世話になっている美容師さんもおっしゃっていたのですが、こういった場所では向かい合って話すことがなく鏡越しだからか、皆さんたくさんおしゃべりをして行かれるそうなのです。
すなわち、床屋さんは様々なご近所の「情報」が集まる場所でもあるのです。

こういった床屋さんにゲートキーパーになってもらうというのは妙案だということで、実際坂野先生の研究室でも視察に行かれたりしたそうです。

私は「これ、鍼灸院もその役割を担うことができるのではないかな?」と思いました。

私達が診るのは主に「体」の不調ですが、一対一で向き合うからでしょうか。
そして床屋さんと同じく、面と向かってではなくて背中を見せていただくことが多いからでしょうか。
やはり治療のなかでその方の「心」に触れる瞬間が、やはりあるのです。

そういったところから、最悪の事態にいたる萌芽に気づき、適切な支援のルートに乗せることができるかもしれません。

もしかしたらすでにそういった取り組みをしている治療院もあるかもしれませんが、鍼灸院は十二分にそういった機能を兼ねる場所になりうるのではないか。

そんな風に考えました。

そのためには、まずは私達がそういった方がたに「気づくすべ」を身につけるということ。

これが何よりも大切であることは確かです。

具体的に私達鍼灸師にどういったことができるか、今後も考えて行きたいと思います。

少し長くなってしまいましたが、最後までお読み下さりありがとうございました。

大切な気づきを下さった坂野先生と、本講演を準備してくださった産業カウンセラー協会北海道支部の皆さまに心より感謝いたします。

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