先週の木曜日、一通のメールが届いた。
タイトルは「訃報」。
とてもお世話になった鍼灸師の先生が、9月4日未明に亡くなった、という。
以下はとても私的な覚書で、公開するつもりはなかったけれど。
自分への宣誓として、ここに残しておくことにする。
私がみどり先生に出逢ったのは鍼灸学生のころの帯広での勉強会。
はっとするほど美しい方が目の前に座っていて、どちらの先生だろうとドキドキしていたら、これから帯広市内に開業するのだと話しかけてくださった。とても素敵な笑顔で。
札幌から参加していた私をJR帯広駅まで送って下さる道すがら、「いままで何も考えず鍼をしてきたから勉強し直さないと」と、一介の学生である私に話して下さった。
とても不遜な物言いになってしまうけれど。
なんて素直な方なのだろうと思った。
ずっとみどり先生はそうだった。
えらぶるところが全くなくて、自分を大きくも小さくも見せようとせず、ありのままの姿でそこにいらした。
鍼灸師のキャリアとしても人生のキャリアとしてもずっと後を歩く私に対してでさえ、「ねえ、これってどう思う?」とあっけらかんと訊いて下さった。
そしてそんな先生の前では私も、自分の立っているところから見える景色をそのまま、飾ることなく伝えることができた。
帯広で会うたびに、
「え、今日帰っちゃうの?今度は飲みに行こう~。で、うちに泊ってって。」
そうおっしゃってくださった。
それが果されることはなくなってしまったけれど。
その人がそこにいるだけで、素直になれるような。
ただ、話しているだけなのに、自分を飾ることがおっくうになってしまうような。
そんな、みどり先生のような人に私もなれたらいい。
目指したい人に出逢えたことを、心から幸運に思う。
「うん、自分にどんな使命があるかっていうことを考えることは、とても大切だよね。」
最後にお会いしたとき、事業計画書を作るのに四苦八苦していた私にかけて下さった言葉は、それ以来ずっと頭の中でぐるぐるしている。
とても大きな宿題をいただいてしまった。
きっと一生をかけて格闘していくことになるのだろう。
みどり先生。
どうか、安らかにお眠りください。
最後に。
お通夜の前日でとてもお忙しい中であるにも関わらず、最期のお別れの時間を許して下さった御遺族に心から感謝申し上げます。